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カルデラを出ると、セレ達は北西に進んだ。
密林からは打って変わって、丈の低い草が生えるだけの茶色っぽい平地になった。
土の道を歩いていると
『4キロ先、ティネル』
という道標が立っていた。
ナーガが地図を開いた。
「ティネルっていうのは宿場町です。三本の主要な街道が交わる場所ですね。」
「色々な国の人がいるだろうな。面白そうだ。」
早速セレは興味を示した。
「温泉もあるみたいです。」
「温泉…!」
セレはときめいてしまった。
ナーガはそんなセレを意外に感じた。
「セレ様は温泉がそんなにお好きなんですか?」
「実はね…」
と話し始めたのはピアリだ。
旅を始めた頃の事だ。天然の岩風呂に入ろうとしていたところを水の魔法使いに邪魔されて、結局は入れずじまいだったのだ。
「それも、俺だけが入れなかったんだ。1度も入った事が無いのに…。どれだけ残念だったか分かるか?」
大真面目に言うセレに、ナーガは
「少年のようですね。」
と笑った。
「外見からは、そんな無邪気さは感じられませんけれど。」
ナーガの言う通り、セレは冷静で堅物な貴公子に見える。
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