149人が本棚に入れています
本棚に追加
/277ページ
「でも、最近セレは色々な表情を見せてくれるわ。」
ルスルスでは、今までセレが他人に決して見せなかった素顔を見られた。
…深い水を怖れる姿、家族への強い憧れ…
…恥ずかしい事がバレた時にほおを赤らめたり、大好きな物に出逢った時に萌え顔になったり…
…のびるまで温泉に浸かったり…
そして、今、ナーガに腹を立てている姿も初めてだ。
「感情を隠さなくても大丈夫って思ってくれたって事だよね。」
ルルグも言った。
「うん…。何だか嬉しいわ。」
「うん。」
笑顔でうなずき合う2人の前で、ナーガは額に汗を浮かべながら必死にセレに言い訳をしていた。
「…人気の作家が書いているので、どんな本なのか興味を持っただけですって…本当にそれだけです。」
「だったら同じ作家の違う本を選ぶだろ。主人の選び方を間違えたと思っているから、そんな本を読むのだろう?!」
「いえっ!決してそんな事はありません…」
そんなセレとナーガを見てルルグは呟いた。
「『温泉を持ち歩ける魔法』でも編み出せばセレの機嫌が直るんじゃないかな…」
最初のコメントを投稿しよう!