第1章 密林の国

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ルスルス…密林の国…に入ってしばらく経った。 「密林の国って言うけど…レダリアの方がむしろ密林が多かったわね。」 「そうだね。現在(いま)じゃなくて、昔は密林だった、って事かなぁ。」 ルルグとピアリが言う通り、開けた平地が見えるだけだった。 「いや、近くに膨大な量の緑を感じる。森林がある筈だ。」 セレが言った。風の魔法を使えるセレは大気の変化には敏感だ。 植物の大群から吐き出される「息」を感じ取っていた。 数分も歩くと、その理由が分かった。 セレ達の正面、数メートル先は断崖絶壁になっていて、その下に広大な密林が広がっていた。 「なるほど、こういう事か…」 セレが特に気圧の変化などの違和感を感じないのだから、こちらが高いのではなく、向こうが低いのだ。 つまり、とんでもなく大きな窪地なのだ。ルスルスの国土のほとんどは海抜ゼロ、若しくはそれ以下だ。 道は大きく右に曲がって、急な下り坂になっていた。 密林の中に入って行く。 「わぁ、緑のトンネルだ…」 ルルグが頭上を見ながら言った。 木洩れ日を浴びながら、樹木の生い茂る下をくぐって歩く。 「不思議な感じね…」 ピアリも周りを見回していた。 木々は鬱蒼(うっそう)としていたが、特に気味の悪さはなかった。
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