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正門には、すでに鈴木さんの姿があった。
「おまたせ」
私の姿をみとめると、鈴木さんは少し微笑んで、さっき来たばかりですから、と私に並び駅の方へ歩き出した。
学校から5分ほど歩いたところにある最寄駅は、夕方のラッシュ前のひとときの静けさを保っていた。あと30分もすれば、ごった返すまではいかずとも賑やかになるのはいつものことだった。
「そこのカフェでいい?」
駅前にある、2つのカフェのうち、チェーン店でない方を提案する。こちらの方が人が少ないから相談向きかなと思っての提案だ。
「はい。行きましょう」
鈴木さんは緊張したように、店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ。2名様ですか?」
私たちの親世代ぐらいであろう女性が、店の奥の窓際のソファ席へと案内してくれた。私たちの他に、お客さんはいなかった。
私はミルクティーを、鈴木さんはブレンドコーヒーを注文した。
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