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鈴木さんのほうをチラリと見遣ると、とても緊張したように、視線を泳がせている。
相談ごとの内容が気になったけれど、こういうのは向こうが話せるタイミングでないとなかなか話しづらい。鈴木さんがタイミングを計っているようだったので、私も待つことにした。
ぼうっと、窓の外を眺めていると、紅茶とコーヒーが運ばれてきた。コーヒーにも紅茶にも小さなミルクカップが添えられており、自分の好きな濃さに調整できるようだ。
私は、自分の紅茶にたっぷりミルクを注ぎ、対流で混ざるのを眺める。マドラーでかき混ぜたり、カップを揺すって均一にするよりも、比重で少しだけミルクが沈殿したままのミルクティーが好きだ。
「鈴木さんは、ブラックなの?」
コーヒーに何も入れずに口をつけた鈴木さんに問う。
「へ?……ええ。甘いものと苦いものは分けていたくて」
突然話しかけたので、少し驚いたように鈴木さんが話しだす。
「先輩は、ミルクたっぷりがお好きですか?」
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