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「うん。紅茶には、そうだね。コーヒーは気分と他次第かな。甘いものと一緒だったら必ずブラックで飲むけれど」
私が口を閉じると、鈴木さんはまた黙ってじっとカップを見つめた。
「あの……」
決意したように拳を握り、けれど視線を上げずに、鈴木さんが話しだす。
「田中先輩は、進学されるんですか?」
切羽詰まったように聞かれたことは、進路のことだった。相談ごとというのは、勉強のことなのかな?と当たりをつけて、私は話しだす。
「そうだね。国立大学志望だよ。まあ、うちの高校、自称進学校だし、ほとんどそうなんじゃないかな?」
「あの、先輩ってとても頭がいいって噂なんですけど、やっぱり県外の難関大を受けるんですか?」
「なにそれ、噂って怖いね。私は実家暮らしが好きだし、親も別にそれでいいって言ってるから、近場の大学を受けると思うよ。具体的にはS大かな。まあ隣県だから県外っちゃ県外だけど。……鈴木さんは県外狙いなの?」
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