後輩×先輩

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鈴木さんは少し安心したような表情を浮かべて話しだした。 「私は……、行けてS大かC大かなって感じの頭なので、まだなんとも。先輩、S大志望なの意外でした。先輩だったら、もっと上狙えそうなのに」 「……向上心がね、ないんだよ。そんな血眼になって必死に勉強して行きたいと思う大学も、就きたい職業もないし。身の丈に合った大学に入って、そこでやりたいこと見つけられたらそれがいいし、見つからなかったらまた適当に就職先も探すし、就職してからでもやりたいことが見つかればきっとそれを優先させるんじゃないかな」 「田中先輩って、意外とユルいですよね」 鈴木さんが、クスッと笑った。 「先輩、……いま付き合ってる人とかいないんですか?」 あれ?進路相談じゃなく、恋愛相談だったのかな?と思い、問われたことに答える。 「いないよ。……恋愛相談なら、私じゃないほうがいいんじゃないかな?私にはアドバイスできるほどの恋愛経験はないよ?」 事実だった。もっとはっきり言えば、私は人を好きになったことがない。興味がないし、想像ができないのだ。
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