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「ここじゃ、ゆっくり話せないから、喫茶店でも行こうか?」
レイは普段は喫茶店に入ったこともなかった堅物人間だったが、この時には
自分から進んで喫茶に誘った。
これはミエに一目惚れした結果だった。
最初から勝負にならない男女関係だった。
惚れた弱みの現れだった。
「ここは画廊だから、他の人に迷惑だからね」
心にもないことを言ってレイは誤魔化したが、ミエに心を見空かれてしま
ったかもしれない軽率な行動に自分は気が付かなかった。
「そうだね。周り静かだからね」
金光は返答を直ぐ返して、3人で、この場を後にした。
「外はまだ、寒いなぁ」
「丁度、隣に喫茶店があるよな。ここにしよう!」
「ここで、いいよ! 風邪でも引くといけないからね」
喫茶店に入って対面の席に座ったミエのメガネを取った彼女の美貌に吃驚
仰天したレイだった。
印象は若き日の高峰三枝子さんのようだった。
積極的に、ウキウキと最初の言葉を発しなかった。
「細かいですね」
「何ですか?」
「川中さんの作品です」
「あっそうだったか。性格が出ているからね」
「細かいのが好きなんですよね」
「それにしても繊細ですよね」
「だから弱い感じもするでしょ!」
「そうでも、ないですよね」
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