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1964年3月
渋谷に、新しい風が吹こうとしていた。
春一番が吹き荒れる中。川中レイは、多摩美の卒業展覧会を渋谷の美術画廊で、いわゆる
卒展中だった。
あまり、大学時代には繁華街に出たことがなかったレイは手持無沙汰に漫然と時を過
ごしていた。
ある人を待って少し苛ついていた。金光を待っていたが、待ち合わせの時間よりもかな
り時は過ぎ去っていた。
「どうしたんだろうな、金光遅いなぁ。何かあったのかな?」
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