ミスコンテスト

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日曜日の朝、ユリは朝食を済ませて何となくテレビを見ていました。番組の合間に流れる宣伝の中に、市がミスコンテストを開催する内容まで含まれています。ユリは、これに応募してみようと思いついて、直ぐにその画面を携帯のカメラで撮影しておきました。ユリは、その画像に写ってる応募条件や宛先を見て、住所・氏名・生年月日などを往復ハガキに書いて投函しました。その後、ゆったりとした一日を過ごしたユリは、明日から事務員として金曜日まで働くのです。 後日、それを企画した運営から返信が来ました。そこには、会場の場所や開催日、集合時間などが印刷されています。ユリは、そのハガキを自分の鞄に入れておき、カレンダーに赤ペンでチェックしておきました。 当日、時間に間に合うように会場に着きました。スタッフの方にハガキを出すと、控え室へ案内されました。その後、打ち合わせが行われました。本番まで何度もリハーサルを行い、幕が上がると練習通りに披露しました。 さて、審査の結果が出ました。三人がプリンセスとして選ばれるのです。それは、エントリーナンバーで呼び出されます。その中に、ユリの番号が挙がりました。呼び出された三人は前へ進み、運営からメダルを首に掛けてもらうのです。ユリたち三人は、メダルをかけられて表彰台に上がります。会場からも拍手が送られます。しかし、雲上の場面はここまででした。 表彰台から降りた三人には、これから一年間イベントに参加しなければなりません。よほどの事が起こらない限り欠席は認められません。しかも、ただ出席して会場の皆さまに挨拶・握手するだけではなく、関係資料を熟読して来場者の質問に答えられるだけの知識を持つ必要があります。 軽い気持ちで応募したコンテストに、地獄にいる閻魔大王様のお仕置きみたいな試練があることを今更ながら知ったユリは少し後悔します。でも、ここまで来たからには後にも引けません。 会社から帰ると、次のイベントの下勉強に時間を使うことになりました。それなら、資格取得を目指した方がいいです。しかし、引き受けた以上それを投げ出す訳にもいかず、とにかく資料に目を通すようにしました。眠くなって、机の上で仮眠してしまうのもしょっちゅうです。 今度の資料も歴史的経緯が絡んでいます。ユリが今まで聞いたことがない人物が登場して訳がわかりません。そのうちに睡魔がユリを襲ってきました。
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