大奥

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子供は、男女半々の確率で生まれてきます。当然、お姫様もたくさんいます。10代になると、どこかの城にいる若君と政略結婚させられます。横の繋がりも重要視されるこの時勢、女児の出産も捨てがたい駒です。どっちみち、他の城の奥方様になるのですが、幼少期は生母から何かを吹き込まれます。 父親からすれば血を分けた子でも、母親からすれば憎い女が産んだ他人の子です。この二重基準に悩まされながら、姫さまとして生活するのです。起床すれば髪結い係に髪をといてもらい、上げ膳据え膳で食事を済ませ、日中は学問や武芸・作法を学び、夜は浴衣着て入浴して晩ごはんを済ませて床につきます。 女中たちはもっとしんどいものでした。決まった役の範囲内で毎日同じことを繰り返すのです。どの役割にもリーダー格がいて、新入りさんに罵声をあげる者が少なくありません。 どの身分であっても、女たちのバトルが繰り広げられる戦場として城内の営みが繰り広げられるのでした。 もちろん男たちはこの事を知りません。男にとっては、お殿様や若君の子作り場ですから、むしろ天国です。自分専用の風俗店に過ぎないから、娼婦同士の喧嘩などどうでもいいのです。子育ても実質的に大奥任せだから、誰が産んだ子なのかピンと来てません。跡継ぎができればいいので、女同士の揉め事には関与しないでおきました。 ユリは、お殿様に対して、もう少ししっかりして欲しいと思うのでした。
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