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政
ユリは、城内の表に行きました。ここは、男たちが政を行う所です。殿様が上座に座り、家臣たちが横の壁を後ろに一列に座っています。招かれた者は殿様を正面にして土下座しています。「表を上げよ」と殿様から声がかかるまでそうしています。
殿様から声をかけられ、堅苦しい挨拶をしてから殿様からの指令に返答するのです。良くも悪くも殿様には絶対です。つまり、イエスマンばかりで固めたこの座敷では、「ありがたき幸せ」と返答しておくのです。殿様に向かって「それは違う!」と文句を言うと、良くて牢獄入り、悪くすると打ち首だからです。
ユリは、現代の政治と変わらない政を半分呆れながら見ていました。日本刀一振りで簡単にやっつけることができるはずの者に、大の男が土下座して腫れ物に触るように一人の老人を扱うのですから。
表では、他の城の情報で飛び交っています。政ならまだしも、向こうの姫がああだこうだという話でもちきりです。どっちみち、貰っても大奥に閉じこもって戦闘員としては役に立ちません。
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