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輿入れ
ここは大奥です。指名された玉姫の輿入れの噂が広まっています。本人も女中たちを通して情報収集には努めています。何せ、見たことも聞いたこともない若君と一生を添い遂げるのですから、自分の立ち振る舞いを研究する必要があります。玉姫は、若君の趣味や好きな食べ物、特技、過去の交遊関係などを事細かく女中たちを通して調べさせます。そして、彼女たちから得られた情報を記しておくのです。そこから得られた情報で、新たな教育プログラムを作成して学問として身につけさせます。
姫が領内の方言を習得する必要はありません。しかし、領内に関する知識を持つ必要があります。城内であっても、地域性があるので、輿入れ先のしきたりに慣れる必要があります。若君を産んだ生母も研究対象に入ります。姑となるその母親と余計な確執を生まないために、ある程度の慣らしが必要でした。
一対一の生活ではなく、広大な領土とそこに住む領民が二人の肩にかかっているから、何が何でもこの婚礼を成功させなければならないのです。
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