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九鬼さんはぼくのために怒ってくれているのだろう。それこそ、分かってはいるが保護すべき子どもとして気遣われるのはさっきの、庭でのこととは違って嬉しくない。お茶を配り、九鬼さんにそっぽを向いて、義兄さんに寄り添うように腰をおろした 義兄さんが片手をあげる。そーっと、眼を剣呑に炯らせる九鬼さんを窺い、頷くのを確認して 「いや、見たいのは・・・・・・」 「見たいのは?」 井原さんが膝を揃え、こちらを見る。義兄さんを凝視しようとする意志は感じるのだが、眼球が動いて、ぼくの腰辺りをさまようから。見えてるのか? 気になって仕方ない、トランクスを履いてない股間が 「遊女に喘がされる男のほう」 座がシーンと静まり返る。話が違う。ぼくは寝てるだけじゃないようだ 「喘ぐ女を調べる必要はない。40年も生きていればそれなりの経験だってあるし」 股間を撫でる義兄さんを睨む。考えなしの阿呆義兄さんの、童顔で可愛い顔にじっとりと滲み出る手汗をこすりつけてやりたい。そう思っていると 「お前のことはいい、聞きたくもない。テルに何をさせようと言うんだ。テルでなければ駄目なのか。そこの編集者にさせろよ」 不機嫌に九鬼さんが言った。鼻白んだ言い方に嫉みが滲んでる。大人の配慮のできない義兄さんの、やってます自慢など耳にしたくないのだろう。分かっているのだろうか義兄さんは、大人の配慮を投げ捨てた九鬼さんに襲われでもしたら、泣くのは義兄さんじゃない、ゆり姉だということを
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