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放課後、ノートを手にした生徒たちが先を競って階段を駆け上がっていく。北見高校の最上階、7階は20万冊の蔵書が揃う図書室となっており、週二回、大学から講師に訪れる先生方に質問しながら勉強できる。その講師の中にはもちろん、九鬼さんがいるはずで、6階の生徒会室の扉を開けながら 「今日もくるのかなあ・・・」 思うのは九鬼さんのこと。あの人はヤバい、義兄さんの悪趣味な誘いに乗ることないのにぼくを口説きに三日続けて、書斎を訪ねてきてる 「7階で勉強しないと、特待生の座を奪われそうで怖いのかな」 小綺麗な顔をした書記の高野さんの口元に、嘲笑めいた笑みが浮かぶ。対面初日から高野さんの口元は歪んでいるので、この笑い方は彼の癖なのだろう 「らしくない。智和には似合わないぞ、意地悪な言い方は」 高野さんの癖を窘めたのは陣内さん、ぼくを副会長に推した会長だ。鼻筋が通っていて、涼しい目元はキリリとした印象を人に与える彼の、耳が大きい。義兄さんと同じ福耳だ。将来大成する確率がある、羨ましい耳をじっと見てしまう 赤面症なのか、凝視するとすぐ陣内さんの顔は赤く染まる。可愛いかも、思っていると高野さんがぼくと陣内さんの間に割り込んできた
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