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ああ、まただ。ぼくはまた、九鬼さんのことを考えてる
「人前で肌を露出させるものじゃない」
そして、大人の九鬼さんは子どものぼくに教育的指導をするんだ。心配してるのかもね、露出狂となり得る要素があるんじゃないかと。でも、人前って
「誰も見てませんよ」
庭を指してクス、笑う
「おい、酔ってねぇだろうな」
戸惑いを滲ませた声に緊張が含まれてる。もう勘弁してほしい、九鬼さんが気にしてるのは義兄さんのことだけ。義兄さんに不審な眼を向けられるのが怖いのだろう
「大丈夫です。義兄さんは九鬼さんがぼくに酒を飲ましたとか、疑ったりしません。前例がありますから」
分かったらあっちへ行って、払いのける仕草で軽く振った手を
「それは、どういう意味だ」
掴まれた
「九鬼さん・・・・・・?」
気配が違う。ヤバい、ぼくの態度に怒ったのかも。後悔するぼくの手首を強く引いて
「あ、 痛っ」
床に押し付けた九鬼さんの左半分だけ、蛍光灯に照らされた顔は無表情で怖い。知らない、こんな九鬼さんは。ハッとした、九鬼さんの膝が開いた内股の間に入ってる。いったい、どういうつもりなのか、分からないまま見上げた九鬼さんの顔が暗く陰り
「教えてあげようかテルに、大人の男をナメてかかるとどんな目に合わされるかを」
口の中に苦い酒の味が広がった
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