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「あの、義兄さん」 「バイト代は払う。月五万でどうだ」 マジか! 両親の営む悉皆屋は儲かる商売じゃない。特待生免除なのは授業料だけ、デザイナーブランドの目の飛び出そうな高額な制服代や、不必要な研修費や環境整備料金は免除されない。普通に公立高校へ進学していれば制服代だけで、三年過ごしてもお釣りがくる。金銭感覚の異常さを調べなかった自分を呪っても、支払った金は戻ってこない。ぼくに出来るのは親への感謝を忘れず勉学に励み、特待生であり続けること ところが、ぼくの頑張りは裏目にでた! 学力の高い北見高校で特待生であり続けるのは至難の業。傍迷惑にも、生徒会会長直々に生徒会副会長に推薦されてしまい、落ちることに期待した選挙にも一位で通過してしまった ――――学校行事フル参加じゃねーかぁぁあああ! 去年、仮病でサボった新入生歓迎会会費五万円を義兄さんに頭を下げ、お願いしようと思っていただけに 「本当に?」 「勿論。そうだ、小遣いをやってなかったな。北見は金が入り用と九鬼が言ってたし、今月はバイト代と合わせ十万としよう」 十万もあれば貯金ができる。ヨーロッパへの一ヵ月の修学旅行は無理でも、チャーター機で無人島まで一週間の研修旅行への参加は可能となる。かもしれない
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