第一章 開門編 第一話 銀座事件

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第一章 開門編 第一話 銀座事件

その日は七月の中で最も蒸し暑い日であったと記録されている。 三十度になるかならないかの気温であり、湿度も高かった。にも関わらず、友人や家族と共に訪れている人々が多く。会話や食事、ウィンドウショッピングを楽しんでいる。 さて、その中で国防陸軍の士官である『尾賀 康一』は自らの先輩である『伊丹 耀司』と合流すべく、電車で銀座に向かっていた。 しかし、その賑やかな光景の中で異変(開門)が起こっていた。 午前十時四十分頃。ビルを挟んで横幅や高さが異様に大きい『異世界への門(ゲート)』が現れた。 それが急に現れたので、携帯電話の写真機能で門を撮影する人や異様な光景に関心を持った人々が集まって来ていた。 しばらくすると、門の中から空気を引き裂くような音を轟かせたレシプロ戦闘機が飛び出すようにして、銀座の大空に向かって飛び出してきた。 さらに、小銃や機関銃を持つ兵士や戦車などの装甲車両を操る集団が溢れ出てきた。 この集団は第二次世界大戦期のドイツ軍に酷似した容姿であった。 門から溢れ出てきた彼らは、集まってきた群衆を無表情で見つめるだけである。 群衆が後ろに下がった瞬間に、彼らと同じ集団がさらに門の向こうからやって来た。 「おぉ、すごい!」 「新しい映画の宣伝かな?」 群衆がさらに集まってきたところで、一番先頭に立っていた兵士が信号銃と思われるものを三発ほど晴れ渡った空に撃つと、ビルの上で旋回していた戦闘機がさっきより旋回速度を上げ、戦車が主砲を人々に向け、砲兵が大砲の方向を群衆に向けて調節し、歩兵達が一斉に銃を構えた。
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