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人々が正門へ雪崩れ込んで行ったほぼ同時刻。
東京駅の前では、抵抗に出た警察官や彼らと同じように勇敢に抵抗に出た人々の遺体を乱雑に積み上げており、その前に、漆黒の軍旗を掲げていた。
そして、彼らの言葉でこのように言った。
「弱き民族よ!聞くがいいっ!我が神聖・レーベグルント帝国はこの地の領有と征服を宣言するっ!!」
これは、一方的な宣戦布告だった。
その傍らで、後からやって来た異世界軍の将校と思われる者が、高らかに宣戦の言葉を上げる兵士を鬱陶しく思いっていた。
「ここは本当に我々以下の文明なのか?」
不思議な顔でハーフトラックから東京駅と広大な摩天楼や乗り捨てられた自動車を見つめていた。
東京駅周辺には他の人っ子が一人いず、周辺に居るのは、この将校の歩兵隊と他の部隊だけだった。この将校が率いる歩兵隊の兵士は、人っ子一人と遭遇することなく先へ進んできたので、広大な摩天楼に困惑しだす。
「副隊長。君はもっとここの偵察に時間をかけて、穏便にこの世界の人々と交渉すべきだったと思わないか?」
「隊長。私もそう思っています。しかし、これは我らが総統閣下のご意向であり、今はこの未開の地の開拓を急ぐべきでしょう」
しばらくして、その部隊の兵士が無線機を持ちながら隊長に歩み寄って来た。
「本陣から敵の位置を捕捉したので。行動を開始せよとの事です」
「うむ、ありがとう……総員移動開始っ!(なんだこのどす黒い嫌な予感は、このまま敵がいる場所へと向かうべきなのか?)」
報告を受けた将校は胸騒ぎを覚えつつ自分の隊の兵士達に移動の指示を出した。
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