1人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どう、意味……?」
やっと絞り出した声は頼りなくも、ひゅうひゅうと鳴る喉の音で掻き消されてしまう。
しんと静かな辺りとは対称的に、私の体内からは煩いほどの鼓動が鳴り響いている。
そんな私を、狩人と名乗った男は訝しそうに瞳を細めながら見つめている。
「何のことかわからないって顔だな」
そこまで言って少し考えるかのように言葉を切るが、すぐに納得したように口端だけゆがめて笑うと。
「・・・・・・。そうか、お前にとっては、人間を一人二人殺すことくらい、日常茶飯事というわけか」
「なっ……!」
『殺す』というあまりに穏やかでない言葉に、反射的に声が出る。
(村人を殺す?私が……?)
「何を言っているの? 私は人を殺したりなんてしていないわ、人違いよ!」
この男の一方的な勘違いで人殺し呼ばわりされ、おまけに銃まで突きつけられるとは、あまりに理不尽ではないか。
私は必死になって身の潔白を説明しようとするが、興奮のあまり上手く言葉が出てこない。
そんな自分にもどかしさと僅かな苛立ちを感じながらも、私は食い入るように男を見た。
その時、何故か優しい笑みを浮かべる雪代の顔が脳裏に浮かんだ。
(雪代・・・・・・)
最初のコメントを投稿しよう!