第1章 霊幻山《れいげんやま》

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あの人は、自分の目で確かめると言っていた。 そうであれば、私はいつも通り生活をしていれば疑いは解けるのではないか。 (けれど、確かめるってどうやって? 私が村人を殺していた現場を確かめるまではってこと?) そうだったら私の身の潔白は証明される。 けれど、なんとなくそんな簡単にいくような話にも思えなかった。 (あの人は私を殺すように依頼を受けたといっていた・・・・・・) なぜ、私が村人を殺しているなどという噂が立ったのか。 ただの噂ならまだしも、人を雇ってまでここまでやってくるとは、何かよくないことが起きているような感じがする。 一体何が起こっているのか、普段村へ降り立たない私が考えてみてもあまり想像がつかない。 「とりあえず、早く帰らなきゃ・・・・・・。雪代が心配するわ」 これから先のことを考えると、黒い靄が私の心の中を覆う。 けれどそんな不安を掻き消すかのように、私は重い体をひきずりながら、一歩また一歩と歩き出した。
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