第1章 霊幻山《れいげんやま》

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「明日も少し出掛けてくるけれど、何か食べたいものとか欲しいものがあればまた教えて。探してくるから」 「わかったわ」 雪代が買ってきた食材を使って、また何品か食事の支度をする。 私と違って、雪代の動きは機械のように正確で、無駄がない。 そうして瞬く間に準備を終えると、私達は温かい食事に囲まれながら、 出来たての夕食を食べ始める。 「そういえば、今日は何かおもしろい発見はあった?」 それは雪代が出かける度に決まって私が聞く質問。 雪代は記憶を掘り返すかのように視線を彷徨わせる。 この反応も、決まって雪代がする反応だ。 「そういえば異国の文化が今どんどん入ってきて、村の様子も日を追うごとに変わってきているね。シチュー《シチウ》もそうだけど、それ以外にもカレーや牛鍋なんていう食事も見かけたよ。まあ金額はかなり高めだったけれどね」 「カレーと牛鍋? それはどんな食事なの?」 興味津々に聞く私に、雪代は笑みを浮かべながら、一つ一つわかりやすく説明してくれる。 こうして話を聞く度、私も外の世界を見てみたいと気持ちが湧き上がる。 けれど、いつもその言葉を封じるかのように、黒い塊が私の喉を塞いでしまうのだ。     
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