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「明日も少し出掛けてくるけれど、何か食べたいものとか欲しいものがあればまた教えて。探してくるから」
「わかったわ」
雪代が買ってきた食材を使って、また何品か食事の支度をする。
私と違って、雪代の動きは機械のように正確で、無駄がない。
そうして瞬く間に準備を終えると、私達は温かい食事に囲まれながら、
出来たての夕食を食べ始める。
「そういえば、今日は何かおもしろい発見はあった?」
それは雪代が出かける度に決まって私が聞く質問。
雪代は記憶を掘り返すかのように視線を彷徨わせる。
この反応も、決まって雪代がする反応だ。
「そういえば異国の文化が今どんどん入ってきて、村の様子も日を追うごとに変わってきているね。シチュー《シチウ》もそうだけど、それ以外にもカレーや牛鍋なんていう食事も見かけたよ。まあ金額はかなり高めだったけれどね」
「カレーと牛鍋? それはどんな食事なの?」
興味津々に聞く私に、雪代は笑みを浮かべながら、一つ一つわかりやすく説明してくれる。
こうして話を聞く度、私も外の世界を見てみたいと気持ちが湧き上がる。
けれど、いつもその言葉を封じるかのように、黒い塊が私の喉を塞いでしまうのだ。
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