考察2# 偽物プリンスと不可解な依頼

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2年生は1年生の頃と比べて少し授業に余裕が出て、平日が休みの日もある。 美鈴は平日1日と土日の週に3日、喫茶 縁で働くこととなった。 最初はできるかどうか不安もあった美鈴だが藤原の教え方が良く、思ったよりも上手くやれている自分に驚いた。 美鈴の仕事は、お客様を案内してから注文を取り、藤原へ伝えて、出来上がった料理を運ぶこと。 土日ともなれば、平安神宮帰りの観光客で待ちの列ができるほどの盛況ぶりだ。 ほとんどが若い女の子やカップルばかりで、庭の写真を撮りスイーツの美味しさに驚き、満足そうに帰っていく。 朝11時の開店時間から、夕方まではお客は絶えることが無い。 今日も夕方の4時をまわり、やっと一息つけるようになった。 「今日も大盛況でしたね。2時にはレモンスコーンも売り切れていましたし」 美鈴はお客のいなくなったテーブルを拭きながら言った。 「そうだね。ありがたいけど、いつも休憩が遅くなってしまって申し訳ないね」 藤原は賄いを作っているようだ。 フライパンをリズム良く振っている。 香ばしいケチャップの香りが漂ってきて、思わず掃除の手が早くなる。 掃除を終え、わくわくしながら待っていると藤原に呼ばれた。     
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