瓶の中のビー玉

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「目覚めるとそこは屋上階段の踊り場だった」  俺は呆然としながら座り込む。 「何でこんな所に居るんだ? そもそもこんな所入った事ないし……」  悩みに悩んだ結果ある答えに辿り着く。 「あ、そっか! これは夢だ! そうに違いない」  俺は結果を出すと立ち上がり、頭を掻きながら階段を降りて行く。  空は薄暗く、恐らく朝方だろう。 「しっかし、夢の中まで嫌な学校だし……暴れてやろう」  俺は教室に向かうまで堂々と窓ガラスを割っていると、見覚えのある姿が教室のドアにもたれている。 「……あれ? 皆川?」  いつも勇ましい親友の皆川は、今日はやけに暗い。俺の夢の中の皆川はこういう設定なんだろう。 「あ、起きたの?」 「え? お、起きたよ……」  皆川は俺に近づき右手を上げる。  その手にはホウキを持っている。 「……おいおい、そのホウキで俺を殴るのかよ。いくら夢でも痛覚はあるんだからさ……」  俺は苦笑いしながらも元来た道を走って行く。  ここまで恐怖心を出せるとは、最近の夢は進歩している。 「や、やめろ! これは夢だぞ」  俺の言葉に皆川は高笑いをする。 「何言ってるんだ? ここは現実だぞ」 「あ?」  屋上まで追い詰められると冷や汗が溢れ出す。 「……放課後にお前を呼んでこのホウキで殴った」  皆川は不気味な笑みを滲ませ、 「なあ、奏。お前は瓶の中に入ったビー玉なんだよ。さっきまで自由にコロコロと転がっていたが、結局は俺という瓶の中だったんだよ」  それだけをいうと皆川は右手を振り上げた。  
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