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「ここに行けば……何かが分かるのか?」
そうして、一夜が明けた翌日、昨夜の出来事が頭から片時も離れることはなく、昌太郎は重い瞼を起こしながら、同封されていたお店の住所へと向かうことにするのだった。
道なりに歩みを進んでいき、もう間もなくでその場所に着こうかというそのとき、
「……しょうちゃん?」
突如背後から声が聞こえ、昌太郎が勢いよく振り返ると、そこには背の低いショートカットの女の子が心配そうな顔で立っているのだった。
「あっ、千織……。こんなところで何してるんだよ」
「あ、私は大学に行くところだよ……。しょうちゃんこそ、何してるの?大学も最近来てないみたいだけど……」
それは、同じ大学に通う幼馴染の白河千織で、大学を休みがちだった昌太郎は久々にそのとき千織と再会したのだった。
「あ、ああ……。最近ちょっと忙しくてな」
今から、レンタルライフなるものの怪しげな正体を確かめに行く……なんてことを言えるはずもなく、昌太郎は視線を泳がせた。
「……忙しいって、それはまたあのアイドルのライブに行ったりしてるから?」
ぎくっと、核心をつかれたように驚いた表情を見せた昌太郎は、
「まぁ、そんなところかな」とそっけない返事をするだけだった。
すると、千織は少し寂しそうな面持ちで、
「そっか…………」と消え入りそうな声で一言だけ漏らし、その場を離れていった。
(明日は……大学行かないとな。でも、今日は――)
千織の後姿を見ながら、心の中でそう呟いた後、再び昌太郎は歩き始めるのだった。そして、
「ここで……合ってるよな?」
住所を頼りにしてようやく辿り着いたその場所は、昌太郎の予想と大きく異なる一見何の変哲もない普通のレンタルショップだった。どんなに胡散臭そうなお店なのかと気を張っていた昌太郎は呆気に取られた表情で、そのまま店内へと入るのだった。
(DVDにCD、コミック――本当にただのレンタルショップじゃねーか…)
店内も特に変わったところはなく、ぐるっと一回りしてどうしたもんかと一人考えた結果、昌太郎はフロントの店員にダメもとで例のことをそのまま聞いてみることにした。
「あ、あのー……ちょっとお聞きしたいんですけど」
「はい?」
すっと息を吸い込み、一呼吸置いてから恐る恐るあの言葉を声にした。
「“レンタルライフ”って……知ってますか?」
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