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その気持ちはわからなくもない。
そんな理由もあって、富さんリクエストの抹茶ババロアを大きめの型で作っている。
トッピング用の小豆も準備万端冷蔵庫で冷えている。
「まだ見つからないんですか?」
毎日必死に探している作家の高橋が、虱潰しに漫画喫茶を回ってもいないのだという。
恐る恐る尋ねた珠美にまた大きなため息を吐いて、吉井はとうとう頭を抱えてしまった。
「私すっごく探してるのよ。彼がいそうな場所は全部行ったの。この沿線の漫画喫茶だけじゃなくて、近隣の沿線まで探したわ。でもいないのよ。もうすぐ締め切りなのに、こんなに見つからないってことは、全然書けてないからってこと?」
「さぁ? どうなんでしょう」
「高橋先生はいつも締め切り前に隠れても、いつも隠れきれなくてわりとすぐ見つかるのよ。こんなにぱったり消息を絶ったことなんてなかったし、高橋先生の身になにかあったらどうしよう」
「さすがになにかあったらニュースになりますし、執筆に集中してるだけじゃないですか」
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