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珠美がちらりと先生に視線を向けると、それに気づいたように先生が顔を上げた。静かに歩み寄ると、苦笑いでパソコンを打つ手を止めた。
「なんとかなりませんか? このままじゃ吉井さん体壊しちゃいます」
「そう言われてもね。高橋くんが今どこにいるかは僕にもわからないよ」
「仲良いんじゃないんですか? 吉井さんから逃げるアドバイスをするくらいには」
「たまみんは意地悪だな。僕だって本当に逃げ回るとは思ってなかったんだから」
「そうかもしれませんけど、吉井さんがあまりにも可哀想すぎます」
吉井が居場所を知らないのに、先生が知っているとは思わないけれど、仲が良いなら先生の連絡に反応してくれるかもしれない。
「メッセージくらいは打ってみるけど、見てくれるかどうかはわからないよ。電源切ってるって前に吉井さんも言ってたでしょ」
そう言うと、先生はスマホを手に取ってメッセージを打ち始めた。
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