彼女たちの苦悩

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そしてコーヒーのカップを持ってそそくさとカウンター席に移動する。 やはりカウンター席が落ち着くらしい。 「流行ってはいないと思うけど……」 返事をしながら吉井のカップを下げてカウンターを拭く。 少し前に希美がいないと大騒ぎをしたばかりだからだろう。 結局希美の場合は家出でもなんでもなく、父の工場にいたのだけれど、みんなで心配したことに変わりはない。 「でもやっぱり私の言った通り先生に相談して正解だったのよ。すぐに見つけちゃって、もう警察いらないわね」 「それは困りますよ。僕もなんでも解決出来るわけじゃありませんから」 先生はそう言うけれど、富さんにとって先生は警察よりも頼りになる人物で、ただ謙遜しているとしか思っていない。 先生がなんでも解決してくれることは、この商店街では有名な話だ。 .
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