プロローグ

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桜の蕾が膨らみ始めた3月のある日。 とある私立小学校の校舎の前には、たった今卒業式を終えた少女たちの姿があった。 6年間着続けたセーラー服も今日が最後だと、幼いながらも感慨深げに目に涙を溜めている。 胸に卒業証書を抱えて校門から出てくる様子は、一歩大人への階段を上り始めたようにも見える。 しばらく校門の前で写真を撮っていた少女たちは、それぞれの母に連れられて名残惜しそうに家に帰っていく。 しかしその中でも仲良しらしい3人の少女が、卒業証書を母に預けると、学校の前にある公園に向かって駆け出した。 母たちもいつものことだとでも言うように、驚くこともなくゆっくりと後を追う。 「ねぇ、どこにする?」 「見つからないところがいいけど、わかりやすい目印があったほうがいいんじゃない」 「じゃあ、滑り台の下は?」 .
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