大きな銀杏の木の下で

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「へぇ。で、なんでその人が関わってるって思うんですか」 「だってそう簡単に高校生が普通に狂言誘拐をしようなんて思いつかないでしょ。きっとアドバイスした人がいると思うんだ」 「なるほど」 ようやく納得がいったらしい慶司はゆっくりと前のめりの姿勢から背もたれに背中を預けた。 「アドバイスした人がいると考えれば、身代金を要求するときに声を変えたことも納得がいく。脅迫電話を掛けるからと言って、必ずしも声を変える必要ってないでしょ。でも家族に掛けるなら声を変えないと誰だかすぐにわかってしまうからね」 「そっか、名前を名乗らなくても友達とか家族なら声ですぐわかっちゃいますよね」 「でもそれだけで狂言誘拐だと断定するには証拠が足りないと思うんですけど」 「そうだね、慶司くんの言うとおりだ。じゃあたまみん、思い出してみて。脅迫電話で犯人がなんて言ってたか」 急に話を振られて脅迫電話の内容を思い起こす。 録音もしていないし、紙に書き留めてもいないので、今となっては少し曖昧にしか覚えていなかった。 .
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