第一章

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月光牙霧人(げっこうがきりと)貴方の名に似合う輝きよね」 「叶王姫(かのうおうき)。今度は大層な名前を使うね」 静かな時を置いて、互いの名を謳う。 「意味がないもの。流行り廃りも有るし。貴方がその名にこだわるのは、未だ人の部分が残るダンピールだから?」 「蒸し返すの?」 秘かな笑い声が響き不意に止まる。 二人が死霊の動きを感じ取ったからだった。 「早いね」 「嫌ね」 率直な意見が交わされる。表情には不敵な微笑みと嫌悪。 「餌場として(ねぐら)として、学校は理想なのに」 ぼやく言葉が漏れるが、呟いた口元は獰猛な形に歪み鋭い糸切り歯が覗く。 それは最早、牙と呼べるまでに変化していた。 「早々に捨てなきゃならないか」 「しつこいのよ」 応じる叶王姫の口元からも鋭い牙が覗き、耳の先も尖り始め瞳が紅く光る。
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