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「月光牙霧人貴方の名に似合う輝きよね」
「叶王姫。今度は大層な名前を使うね」
静かな時を置いて、互いの名を謳う。
「意味がないもの。流行り廃りも有るし。貴方がその名にこだわるのは、未だ人の部分が残るダンピールだから?」
「蒸し返すの?」
秘かな笑い声が響き不意に止まる。
二人が死霊の動きを感じ取ったからだった。
「早いね」
「嫌ね」
率直な意見が交わされる。表情には不敵な微笑みと嫌悪。
「餌場として塒として、学校は理想なのに」
ぼやく言葉が漏れるが、呟いた口元は獰猛な形に歪み鋭い糸切り歯が覗く。
それは最早、牙と呼べるまでに変化していた。
「早々に捨てなきゃならないか」
「しつこいのよ」
応じる叶王姫の口元からも鋭い牙が覗き、耳の先も尖り始め瞳が紅く光る。
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