第一章

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魅了され、少女は目の前に現れた人と同じ姿で違う存在に全てを委ねた。 己の復讐心と共に。 ああ、こんなにも素敵な存在が現実に居たなんて。 闇の眷族を従える最強の種族。 吸血鬼。 認められたと言う想いが、今は只の幻想でしかなかった事に気付いている。 特別なのだと信じる思考に囚われ、最早、取り返しは付かない過ち。 体から吸い取られた命の流れ。 限度を超えて奪われた血潮。 己の体温さえ維持できなくなった身体は急速に冷え、力はとうに籠らない。 朦朧とする意識の中で相手を見上げた。 否、見上げさせられた。 だらしなく俯く顔を、髪を掴まれ引きずり上げられて。 「ふふっ。可愛い子だと思っていたけど、化粧が剥げちゃえば少し顔立ちが良い程度だね」 鼻先で笑う吐息が顔にかかる。 漂う鉄臭さは、今し方飲まれた少女の血の匂い。 「なかなか楽しませてくれたご飯だったよ、君は」
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