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気付いた。今まで一度も名前を呼ばれていない事実に。
たった一度のミス。録音されていた暴言。
その為に学級のヒエラルキーの天辺から転げ落ち、最下層のイジメられる側へ、無視される存在へと成り果てた学校生活。
取り巻きは早々に去り、極彩色に毒々しさすら放つ程に姦しく騒ぎ、輝いていた日々は鈍色に沈んだ。
意地だけで通うクラス。鉛色に沈む心を奮い立たせ、煮詰めて行った復讐心。
ドロドロに、灼熱色に。
そこに廻って来た最高のチャンス。
目の前の美しい、クラスへ転入して来た男。
微笑まれ、見初められたと直感し。
秘密を囁かれ、人を超えた場所で再び君臨できるのだと確信していた。
なのに、最初から遊びでしかなかったのか。少女がクラスに君臨していた頃に、気分次第でターゲットを選んでいた様に。
「ひへっ」
自嘲からか、しゃっくりに似た嗚咽の如き笑い声が漏れる。
「学校っていいよね」
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