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声を録音して、イジメの証拠だと提出した根暗など生きる価値もないと。
「ふふっ、暴れたい?」
楽しげな声と、俯く少女の後ろに見える一つ上の学年と判る制服。
鮮やかなブルーは二年、自分達一年のネクタイは臙脂だ。
「あら、案外と気概に満ちている目をする子ね」
艶やかな声が気だるげに響く。
宵闇が迫るクラスの中に。
「僕等はね、この学校を新しい餌場に決めたんだ」
「提供してくれたのは、この子」
男女の甘い声が囁き合い交わり、俯く少女に先輩である生徒の腕が絡む。
白蛇を思わす腕が。
「誰も救ってくれないなら全て滅んでしまえば良いと願った、この子の望みを私達は受け入れたの」
白い指先が俯く顔を引き寄せ、対照的に紅い唇から這い出た舌先が少女の頬を舐める。
「可愛い子、可哀想な子。弱くて儚くて、家族を悲しませない為に、たった一人死ぬ事さえ我慢していた子」
甘ったるい先輩の声が呪文の如く紡がれ行く。
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