町の道具屋 ハッタとヘイヤ

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「私が力を貸そうか?」 「勿論、ヘイヤにも手伝って貰うわ。でも、ハッタの力も必要なのよ」 「嫌だね。道具屋の仕事が忙しいんだ。新しい店を構える為には、遊んでる暇なんて……」  アリスは宝石の散りばめられたネックレスを外し、ヘイヤに握らせてニヤリと笑う。 「金貨五百枚相当の価値があるわ。あなたが十年働いても手に出来ない代物よ」 「……仕事の内容は?」 「北の魔王をぶっ飛ばす」  ……  …… 「へっ?」 「魔王が宮殿に現れたの……姫を攫うって噂通りにね。でも、兄上が連れ去られたのよ」 「ジーンが? 確かに、見た目だけで言えば美少女だからなあ。それで、ジーンを助けたいのか」 「兄上なんてどうでもいいわ。魔王の秘術で女になって、元気な子供を産めばいいのよ。そんな事より……美しい私を差し置いて、兄上を攫った魔王が許せない」  そんな事より……そう言われたジーンが不憫で、ハッタとヘイヤは憐れみの表情を浮かべた。 「本当は、ぶん殴って、剣で斬り刻んで、銃で風穴を開けまくって、ハンマーで粉々にしたいのよ。でも、粉々になった魔王ってグロそうなのよね。一発殴って、踏んづけて見下す……これで許してあげるわ」 「許すって、魔王だろ? そこそこの魔物なら敵じゃないけど、魔王は無理だよ」 「セバスが倒すわ。一対一なら勝てるらしいの」 「セバスさんが?」  ハッタが首を傾げていると、話題の中心となっていたセバスが現れる。
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