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ハッタとヘイヤは大きな袋を抱えて馬車へ乗り込む。
「ありったけの道具を持ってきたぜ」
「結界石は?」
「結界石を使うのかよ。あれは金貨五十枚もする高価な……」
結界石とは、発動させると円状の結界が半径二十メートルに張られ、効果が切れるまで誰も近寄れないレアなアイテムだ。
「五百枚分の報酬を支払ったでしょ?」
「結界石しか使わないならいいけどな。それで、どうやって魔王を倒すんだ?」
「先ずは魔王の城に忍び込んで爆弾を仕掛けるのよ。数ヵ所に仕掛けたら一気に爆発させる。魔王の手下は何事かと調べに向かうはず。その隙を突いて、一気に中央突破するわ。後はセバスが魔王に近づいたタイミングで、ヘイヤが結界石を使用するの」
……
……
「なんで私が!?」
突然振られたヘイヤは、驚き過ぎて声が裏返った。
「確かに、ヘイヤが適任だな」
「お兄ちゃん!?」
「結界石は発動条件が難しい。俺やアリスでは失敗して、結界石を壊してしまう可能性がある。ヘイヤは繊細な作業が得意だろ? 過去に一度も失敗してないのは、ヘイヤだけだぞ」
「そうだけど……私が発動させたら、私も結界の中に入っちゃうじゃないの」
「隅っこで丸くなればいいんだよ。後はセバスさんが助けてくれるさ。ねっ、セバスさん?」
「……」
セバスは無言で馬車を進める。
我関せずだ。
「お兄ちゃん?」
「ハハッ、まあ気にするな。ほらっ、お守りをやるよ」
ハッタから受け取ったお守りには、金運アップと書かれていた。
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