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「これは珍しい客だな」
翼を持つタンクトップの魔物が、腕を組んで軽快に笑う。
「あなたがドードーね。この関所を通して貰うわ」
「名を聞いておこうか」
「アリスとセバスよ。後ろに居るのがハッタとヘイヤ」
「なるほど……アリストセバスにハッタトヘイヤか。カッコいい名前じゃないか。残りの二人は?」
……
……
アリストセバス?
ボケたのだろうか? それとも、暑苦しい見た目通りに脳みそまで筋肉なのだろうか?
「名乗らぬか……まあ良い。関所を通りたいのなら、私と短距離走で勝負だ。あれを見ろ」
筋肉バカが指差す先には、立派な大木が見えた。
「あの大木まで走り、先に着いた方が勝利だ。誰が勝負する? 四人同時に走ってもいいぞ。誰か一人でも勝てば通してやろう」
何故か話す度にポージングをしている。自信に満ち溢れた笑顔がウザい。
「少々時間を頂けるかしら?」
「ご自由にどうぞ」
ドードーから距離を取り、アリスを中心に作戦会議が進められた。
「予想以上に暑苦しい筋肉バカね。中途半端に紳士ぶってるから余計に気持ち悪い。セバスが避けるのも納得したわ」
「分かって頂けましたか」
「でも、倒さない限り先に進めないのよね。ドードーに勝てるかしら?」
「このまま勝負すれば勝つ可能性は低いでしょう。ドードーは百メートルを五秒で走るという信じられない噂があります。あの自信を見る限り、噂は真実だったと思われます」
「ハッタの道具を使ってもダメなの?」
ハッタの履く超加速ブーツに視線が集まる。
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