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三十分後。
アリスがハッタの足を掴み、引きずりながら戻って来た。
「勘弁して下さい……勘弁して下さい……」
うわ言を繰り返すハッタ。意識は無い様だ。
ボロ雑巾となったハッタを、ヘイヤに向かって投げつける。
「ちゃんと兄を教育しときなさい」
「はっ、はひぃ……」
再びヘイヤは震え出した。
アリスは髯のラクガキを消して、身なりを整える。
「さてと……通っても良いかしら?」
「勿論だ。それと、一つ教えてやろう。次の関所にいるチェシャは姿を消して翻弄するぞ」
「姿を消す? 面白そうね。では、ごきげんよう……」
こうして、アリス達は次なる関所を目指し動き出す。
圧勝とも言える戦いだったが、ハッタとヘイヤは心に深い傷を負っていた。
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