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それから俺は父に言われた通り、いつもと変わらない日常を過ごした。
その間、父はほとんど家に帰ることなく、帰ってきてもすぐに出かけるという日々を繰り返していた。
母はというと、何を語ることなく、普段と変わらない様子で俺に接していた。
俺もあえて何か聞こうとはしなかった。
必要があれば、話してくれると思っていたから。
そうして過ごす日々は本当に何も変わらず、まるで衝撃を覚えたあの日が嘘のようにすら思えた。
しかしふとした時に目に入る左手の甲の紋様が、あの日の出来事が現実であることを強く認識させる。
そしてその度に思った。
俺は、どうすればいいんだろう?どうしたいんだろう?と。
激痛を味わった左目に違和感を覚え始めたのは、そんな悶々とした日々を何度か繰り返した時だった。
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