開戦

4/19
前へ
/225ページ
次へ
「…何なんだ、これ」 二階の自室のベッドで横になりながら、左手のそれを改めて見つめる。 それはアザと言うより、龍の形を模した紋様だった。 家に着いてからすぐに洗面所で洗ったが、この紋様は落ちなかった。 左目も視界良好。 鏡で細かく確認したが、異常は見られない。 あれ程の痛みで、異常がない。 それが凄く不気味に感じられた。 「…家族に言うべきか…?」 しかし父の帰りは遅い。 母は夕飯の支度でキッチンにいるが、余計な心配はかけたくない。 やはりここは、明日学校を休んで病院に… 「トモ!灯李!!いるか!?」 その時一階から、父の叫ぶような声が響き渡った。
/225ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加