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慌てて一階に降りると、息を切らした父が玄関で立ち尽くしていた。
リビングの方を見ると、母も何事かと顔を出している。
「父さん!どうしてここに?まだ仕事じゃ…」
「トモ!よく聞け!」
俺の姿を確認するなり、父は靴を脱ぎ捨てて俺に詰め寄った。
「どこか身体に異常はないか!?痛いとか、苦しいとか、変な感じがするとか、何かないか!?」
「あ、あるよ。少し前に左眼が痛くなって…あと左手に変な模様みたいなのが…」
父の剣幕に圧倒されながらも、俺は状況説明と左手の紋様を父に見せる。
すると父は、先ほどとは打って変わり力が抜け、ガックリと肩を落とした。
「そうか…あるのか…」
「父さん…?」
父は、何か考え込むように下を向いていると、不意に顔を上げ、そして俺の方を見た。
「ちょっとこれから出て来る!今日は帰りが遅くなるかもしれんから、母さんと二人で夕飯を食べててくれ!それから戸締まりをしっかりして、絶対に家から出るなよ!いいな!?」
「え?あ、ああ。わかった…」
「ああそれと、明日は学校を休め!いいな!!」
そう言い残し、父は血相を抱えて家を飛び出して行った。
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