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一階へと続く階段を下りリビングに入ると、驚いたことに、父と母が二人揃ってダイニングテーブルに座って待っていた。
「父さん、帰ってたのか。音がしなかったからまだかと…」
「灯李。座りなさい」
普段は俺のことを「トモ」と呼ぶ父が、灯李とハッキリと呼んでいる。
そしてこのただならぬ雰囲気。
俺は状況を察し、何も言わずに父の前に座った。
「…昨日はすまなかったな。何も説明せず、家を出てしまって」
「大丈夫…って言いたいとこだけど、流石にちょっと不安だったかな。でも、話してくれるんだろ?」
「ああ…」
父は隣に座る母と視線を合わせ、母の頷きを確認すると、ゆっくりと口を開いた。
「実はな、昨日俺は『本家』に行ってたんだ」
「本家に?」
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