204人が本棚に入れています
本棚に追加
高くそびえ立つ天守の先には、雲一つなく抜ける様に青い空が続いている。
頬を撫でる風は心地良く、近付く夏を待ちきれない青葉達の香りも一緒に運んで来る。
こんな日は木陰で寝転び、気の済むまで昼寝としゃれ込むのが最高の贅沢なんだが、今の俺にそうする事は許されない。
何故なら俺は勇者であり、ここは魔界の最深部。
そして目の前には、最終目的地とも言える魔王城がある。
勇者として、この状況で昼寝など有り得ない事だ。……本来ならばな。
最初のコメントを投稿しよう!