彼と彼女のソネット

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彼と彼女のソネット

「ねぇ。なんでこんなに胸が痛むのかな」 「突然なに?」 年下の彼は欠伸をしつつ微睡んでいる。 彼と云っても彼氏彼女の関係ではない。 でもするとこはしている。 その辺はとても複雑なのだ。 「いや、何でもない」 「俺、眠い」 「うん」 彼は私の胸に顔を埋める。 私は艶ややかな彼の黒髪を撫でた。 自分より一回りも年下の彼。弓月は私なんかよりずっとしっかりしていて精神年齢も上だと思う。 思っていた。 「純ちゃん、純ちゃん」 「ん? 」 「やっぱ、もう一回シたい」 誘ったのは私の方からでなんとなーく、冗談交じりに言ってみたら軽くOKした弓月。 最初はやったーとか、ラッキーとかより何で?と思う気持ちが強かった。誘っておいてなんだけど。 嗚呼、この子は私じゃなくてもいいんだろうな。手身近にいたからなんだろうな。 そう思えばそう思うほど私は卑屈になって思考は冷めていく。 そんな私の心とは裏腹に弓月の指先や舌は熱い。 「ん、弓月……」 「純ちゃん、俺とシてるのに考え事とか余裕じゃん」 「そんなこと、ないよ」 「ウソつき」 最初はただの遊びのつもりだった。 だって弓月は若いから。 何時か私を捨てて私より若くて可愛い女の子の所に行ってしまうから。     
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