彼と彼女のソネット

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だからこれは遊び。 本気になんてならない。 私は弓月を束縛しない。 弓月が何をしていようと干渉しない。 それがマイルール。 そのはずだったのに。 「なんで泣いてんの? 俺、やっぱ下手? 」 弓月の声ではっとした。 私、泣いてる……? ダメだ。今日はいつになく感傷的になっている。生理が近いのかも。 「欠伸しただけ」 「なんでそんなバレバレのウソ吐くのかな」 そういうとほっぺたをギュッとつねる。 「いひゃい! 」 「俺、ウソつき嫌い」 プンプンと頬を膨らませて不機嫌になる弓月。 そりゃそうか。 「弓月はいつか遠くへ行っちゃうんだよ。私なんか置いて」 ぽつりと呟いた言葉に弓月は明らかにイライラしている。 精神年齢年上と思っていたが不機嫌な時は分かりやすいくらい態度に出る弓月。 なんやかんやで成人しているが子供っぽい。 そんなところも嫌いじゃない。 あー私も焼きが回ったな。 「なにそれ」 弓月は一言吐き捨ててベッドから抜け出した。 弓月の所為で身体は熱い。心は冷える。 また、泣きそうだ。私、年上なのに。 プシュッと言う音。弓月は冷蔵庫からコーラを取り出したのだろう。     
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