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「まあな。教えてやらないこともない。そのかわり、条件つきだけどな」
「条件?」
「オレの仕事を手伝って欲しい。そのエンジェル・スレイの力で」
龍勝が提案してきた。初めて会った人物、しかも龍が憑いている人間のする仕事なんて、きっとろくでもないに違いない。
「エンジェル・スレイの力でなんて言うけど、どんな力か知っていて言っているの?」
ジェナは訊いた。
「全部を知っているわけじゃないが、エンジェル・スレイ、中位天使は生き物の心を操る力があるそうじゃないか。その力を貸して欲しい」
龍勝はジェナに言った。
「その力を使って、何の仕事をするの?」
「それは『手伝う』と答えたら話す」
ジェナは警戒するように龍勝をじいっと見た。
「別にやりたくなかったらそれでもかまわない。自力で試験に受かる方法でも探すんだな」
龍勝は踵を返して歩き出した。
「・・・本当に仕事を手伝えば、この試験に受かる方法を教えてくれるの?」
ジェナの声で龍勝は立ち止まり、振り返った。
それで受かるのであれば、とジェナの目は警戒しながらも、期待で満ちていた。
「ああ」
龍勝は返事をした。
「その話、乗るわ」
ジェナはやたらと嬉しそうだった。そんなジェナを見て、龍勝はにやりと笑った。
ピカッ
ほんの一瞬だが、二人の周りはとてつもなく眩しい光に覆われた。
光がなくなったときには、そこにいたのは龍勝だけだった。そして龍勝の手のひらには小さな白い玉が浮かんでいた。
「オレを恨むなよ」
龍勝はその小さな白い玉を持ってある場所へ向かって行った。
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