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思い
数日後、レイラは一人、教会のイスに座って頭を悩ませていた。
「『人間について』調べるって言ったって、以外と難しいな」
あの後、シスターが戻ってきて、
「この試験はマキ、あなたたちが手伝ってあげてもいいのよ。彼女たちはこっちの世界ではまだ知らないことが多いので。天上界で知識を詰め込んでいても、実際は経験を積まなければ意味が無いですから」
と言った。
そう言われて結局、マキを中心にシェインの試験を手伝うことにしたのだった。手伝うといっても、人間に関係のある本を持って来たりとか、実際に買い物に一緒に行ったりしているだけだが。
「あいつ、ジェナだっけ。今頃どこにいるんだろ」
シェインの試験を手伝うのはいいものの、妹のジェナは教会を飛び出して行ってしまったきりで、それ以降、教会に戻ってきていなかった。シスターに言ってみると、
「あの子ならきっと大丈夫ですよ」
とレイラ達やシェインを心配なせない為か、明るい顔をして言った。でもその顔にはやはり心配そうな面影があった。
「レイラさん」
レイラがはっとして顔を上げると、そこにシェインが立っていた。
「ゴメン。気が付かなかった」
シェインがレイラの横に座った。
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