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ベッドから起き上がったときには、時計が朝の8時を指していた。
「・・・遅刻じゃねぇか!」
龍勝はあわてて制服に着替え、コートを羽織ると部屋を飛び出した。
龍勝が住んでいるところ、それは葉月学園からあまり離れていない見晴らしが良く、
きれいと定評があるマンションだった。このマンションには、学園の生徒も何人か住んでいる。みんな家が遠いため、学園側が斡旋してくれているこのマンションに一人暮らしをしながら通っている。
龍勝も一応学園に在籍しているため、支部の仕事もあるが、今はこのマンションに住んでいた。
「龍勝君、おはよう」
龍勝がマンションの入り口を出たところで、後ろから声をかけられた。くせのある髪の毛と瞳の色が灰色のなかなかの美人な女の子。葉月学園高等部3年Sクラス所属の通称『女神』、琴宮沙蘭だった。
「沙蘭。早くしないと遅刻するぞ」
本来の年齢はともかく、一応学年は沙蘭のほうが上にもかかわらずタメ口だ。龍勝の学園へ転入が決まり、このマンションに住むようになってからよく世話になっているせいか、レイラと同じぐらい親しくなった。タメ口なのは沙蘭がタメ口で良いと言ったからだ。
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