聖夜の終わり

思い

「入ってきた情報によれば、持ち出したのは姉のシェインだそうだ。『光華』を持ち出すのは天上界では最大の禁止事項だろ？『光華』を持ち出したものは極刑に値すると聞いた」

―うそ・・・姉さんが・・・うそに決まっている。

　声に出したつもりなのに、声は出なかった。
「それに、『光華』を持ち出したとき、死刑を執行するのは身内だそうじゃないか」
　龍勝がジェナの耳元で言った。
「オマエの力でシェインを殺せ。エンジェルを殺せるのはエンジェルだけだ。それに、シェインを殺せばこの試験に受かる。覚えているか？試験に受かるのは片方だけだということを」
　ジェナは何も考えられなくなっていた。どうすればいいのか。もし、本当に姉が『光華』を持ち出したのなら姉を殺さないといけなくなった。『『光華』を持ち出したエンジェルは殺さなければならない』それが天上界の掟だった。なぜそういう掟があるのかは聞いたことはない。なぜか掟だけが存在していたし、過去にも持ち出して身内や家族に殺されたエンジェルがいたことは聞いたことがある。

―どうして・・・私が―

　ジェナは自分の中で何かが崩れ落ちていくのを感じ取った。