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「ところで、オレはこれから何をすればいいんですか?」
龍勝は話をそらした。
「計画通りやってくれれば問題ない。今回は裏方にまわる方が多いが、大して難しいことでもないし。もし、『蓮』に会えたらいろいろ聞いてみるといい。君の中の龍、『破邪無王』について何か知っているかもしれないからね」
男は楽しそうに話した。やはりこの男も龍勝の中にいる『破邪無王』について興味があるらしい。
「オレはまだ破邪無王の詳しい経緯は知りません。破邪無王は過去を捨ててしまったようで、オレと破邪無王が一体化しているのは体だけで、精神までは一体化できません」
龍勝は男を納得させるように言った。
「ひとつの体に二つの魂。最後にはどちらかが消えてしまうんだろうな。心の闇に喰われて魂が死んでいくか、果てはその闇にとらわれて眠り続けるか」
「オレはどちらでもないですよ。二人でひとつの肉体を持っているんで。決して消えることも、眠り続けることもないです」
龍勝はどこか諦めた表情をしていた。本人は無意識のようだが、男はそれを見逃さなかった。
「それでも、いつかは『確実な死』を迎える。全ては『運命』という時の流れるままにね」
男は小声でつぶやいた。
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